スマートコントラクトは仮想通貨の魅力を理解する上でとても重要なキーワードです。
それは、スマートコントラクトが、実社会で仮想通貨を活用するために重要な役割を担うと期待されているからです。
スマートコントラクト(smartcontract)を、日本語に直訳すると「賢い契約」という意味の言葉です。「賢い」というのは、簡単に言い換えれば「自動的」という意味です。
そして「契約」というのは、企業同士が締結するような書面化されたものだけではなく、何かを売ったり買ったりするという取引行為全般を差しています。
つまりスマートコントラクトとは、「自動的に契約を遂行する」機能だということです。
スマートコントラクトという考え方は、仮想通貨誕生以前からありました。
スマートコントラクトを提唱したニック・スザボ(NickSzabo)によると、スマートコントラクトを最初に導入したのは自動販売機であるとのことです。
みなさんご存知の通り、自動販売機にお金を入れてボタンを押せば、飲み物が出てきます。
これは、「お金を支払う対価としてジュースを引き渡す」という契約が自動化されたものと考えられるでしょう。
スマートコントラクトは、このように取引契約を自動化することだと理解しておきましょう。
私達が自動販売機で購入するときには、「130円を支払えば飲み物を引き渡してもらえる」というような契約に従って現金を支払い、商品を受け取ってます。
このように、取引には「契約」と「決済手段」が必要となります。
もっと規模がおおきな話になれば、企業間の契約なども「契約」と「決済手段」があってこそ、成り立つものです。
私達が普段使っている日本円は「決済手段」でしかありません。仮想通貨の代表であるビットコインも、同じく「決済手段」です。
これらの通貨を使って取引をするためには、別途「契約」が必要となります。
実はビットコイン以外の仮想通貨であるアルトコインの中には、スマートコントラクトの機能を備えたものがあるのです。
その代表例が仮想通貨としての時価総額第2位であるイーサリアムです。
そもそも仮想通貨は、ブロックチェーンという技術によって世界中のコンピュータの力を借りて、通貨の取引履歴をみんなでチェックすることによってなりたっています。
イーサリアムなどのようにスマートコントラクトを備えている仮想通貨の場合、取引履歴だけではなく契約内容も、みんなでチェックできるようになっています。
今後、仮想通貨が現実社会のさまざまな場の取引で活用されるとすると、スマートコントラクトにっよって「契約が自動化されている」ことにはさまざまなメリットがあります。
通常、契約をするときにはお互いに、相手が契約内容を履行してくれるのか、調査する必要があります。しかし、スマートコントラクト機能がある仮想通貨を使えば、契約内容やその実行履歴がすべて記録として残り、しかもそれが世界中のコンピュータによってチェックされます。つまり、虚偽情報で相手を騙したり契約を履行せずにしらばっくれたり出来ないのです。だから、取引をするにあたって、相手を信用できるかどうか悩む必要がなくなります。
通常の契約では、契約内容をチェックしたり、相手の信用を調査したり、契約の履行をチェックしたりするためのコストが発生します。また、契約内容をお互いに確約するために第三者による監視が必要になる場合もあります。しかし、スマートコントラクトを使えばこれらの処理がすべて自動化されるので、大きなコスト減につながります。
この記事で紹介したとおり、スマートコントラクトは契約を自動化することによって、取引のコストを削減して進行をスムーズにする機能です。
今後、仮想通貨が実社会で活用されるようになるほど、スマートコントラクトが重要なキーワードになっていくでしょう。